○全ての抗がん剤が目へ副作用を及ぼすわけではありません。
○目へ副作用が出やすいと言われている抗がん剤でも、総ての患者様に影響が出るわけではありません。
○薬剤の副作用に対する基本的治療は、原因である薬剤の中止です。しかし、抗がん剤では中止できる場合が少なく、眼科で対症療法となる場合が多いです。
○抗がん剤治療をしている患者様は一度眼科受診が必要です。
Q:目に影響する抗がん剤とその症状を教えて下さい。
A:薬品名には薬効成分の化学物質の名前である一般名と、売られている名前である商品名があります。ここでは、商品名を先に、一般名を()の中に入れます。
●TS-1、5-Fu(テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム)
症状ー流涙(涙に排出された薬剤による涙道障害が原因)、眼痛・まぶしさ・視力低下(涙に排出された薬剤による角膜障害が原因)
副作用発症までの期間ー数週間~数カ月
胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・膵臓がん・胆道がん・頭頸部がんで使用されています
●キロサイド(シタラビン)
症状ー痛み・充血(結膜炎が原因)
副作用発症までの期間ー個人差あり
白血病・悪性リンパ腫で使用されています
●ノルバデックス、タモキシフェン(タモキシフェン)
症状ー視力低下・物が歪んで見える(網膜血管の炎症が原因)
副作用発症までの期間ー個人差あり
乳がんで使用されます
●タキソール、ブラキサン(パクリタキセル)、タキソテール、ワンタキソテール(ドセタキセル)
症状ー視力低下・物が歪んで見える(黄斑浮腫が原因)、流涙(涙に排出された薬剤による涙道障害が原因)
副作用発症までに期間ー個人差あり
乳がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、子宮体がんで使用されます
●シスプラチン、ブリプラチン、ランダ(シスプラチン)
症状ー見づらい、中心がぼやける(視神経炎が原因)
副作用発症までの期間ー個人差あり
肺がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎盂・尿管腫瘍、膀胱がん、睾丸がん、骨肉腫、etcで使用されます
●イレッサ(ゲフィチニブ)、タルセバ(エルロチニブ)、アービタックス(セツキシマブ)
症状ーゴロゴロ感、痛み(睫毛乱世が原因)
副作用発症までの期間ー個人差あり
肺がん、膵臓がん、大腸がん、頭頸部がんで使用されます
●ザーコリカプセル(クリゾチニブ)
症状ー視力低下・まぶしさ(原因不明)
副作用発症までの期間ー個人差あり
肺がんで使用されます
以下の薬剤に関しては、まだ臨床試験の結果しかありません
●オプジーボ(ニボルマブ)
症状ー飛蚊症、目のかすみ、まぶしさ(ぶどう膜炎が原因)
副作用発症までの期間ー個人差あり
悪性黒色腫、肺がん、腎臓がんで使用されます
●ジオトリフ(アファチニブ)
症状ー充血(結膜炎が原因)、目のかすみ(原因不明)
副作用発症までの期間ー2~3週間
肺がんで使用されます
●メキニスト(トラメチニブ)、タフィンラー(ダブラフェニブ)、ヤーボイ(イピリムマブ)、ゼルボラフ(ベムラフェニブ)
症状ー目のかすみ、まぶしさ、目のかすみ、飛蚊症(ぶどう膜炎が原因)
副作用発症までの期間ー個人差あり
悪性黒色腫で使用されます
Q:治療はどういった方法がありますか
A:基本的に原因となる薬剤を中止します。但し、抗がん剤の場合は治療を止めることが出来ない場合が多く、眼科での対症療法が主な治療になります。抗がん剤治療を行っている患者様は一度眼科受診をする必要があります。