インフルエンザの最近の知見

今回は「インフルエンザ」に関する勉強会でした。同時に講演があった「破傷風」に関しても簡単に載せます。

<インフルエンザ>

●季節性インフルエンザはA型とB型ウイルスの混合流行が多く、日本のインフルエンザワクチンは2015年の冬からA型2種類とB型2種類のウィルスに対する4価ワクチンが作られています。

●WHOの予測発表を参考にして、日本国内での流行状況・流行しているウイルスの解析情報・日本の国民の血清抗体保有状況などから、次のシーズンに流行の主流となりそうなウイルス候補を予測し次の年のワクチンを製造します。

ワクチンの効果持続期間は約5ケ月であり、ウイルスの流行状況からワクチンは毎年のように変更するため、毎年ワクチン接種をすることが必要です。

●呼吸器・循環器・腎疾患などの基礎疾患を持っている患者様は、インフルエンザにかかると重症化しやすいためインフルエンザワクチンが有効です。但し、ワクチン接種時にはかかりつけの病院の先生に必ず相談をして下さい。

●妊婦さんへのインフルエンザワクチン接種の利点は、①妊婦さんがインフルエンザに感染しても重症化を防げる。②胎盤を介して胎児へ抗体が移行し出生後の乳児のインフルエンザ感染の防御や重症化を防げることです。欠点は母体へのアレルギー反応ですが、その発生頻度は妊娠の有無に関わらず同等と言われています。また、インフルエンザワクチン接種による自然流産、早産、胎児発育異常、奇形などの危険が増えるという報告はありません。但し、ワクチン接種時にはかかりつけの産婦人科や内科の先生に必ず相談をして下さい。

<破傷風>

●国内では年間100名以上の破傷風患者が継続して発生しています。

●破傷風ワクチン接種は1968年から始まり、それ以前に出生した破傷風ワクチン接種を受けていない世代が破傷風にかかっています。

●破傷風は破傷風菌が産生する微量の毒素によって発症するため、通常感染をしても免疫が誘導されません。そのため、ワクチン接種が唯一の感染防御の手段となっています。