骨格筋量を調節する運動と栄養の役割~インスリン抵抗性と筋タンパク質代謝~

今回は<高齢者のサルコペニア>に関する講演でした。<筋肉>に関する内容を載せます。

●「サルコペニア」とは「加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力低下」のことです。ちなみに、「フレイル」とは「高齢者が筋力や活動が低下している状態」のことです。

●高齢者は、筋力が低下し転倒しやすく、骨折から寝たきりという危険性があります。また、筋肉量の減少は死亡リスクを上げるという報告があります。そういう意味でも、筋肉は高齢者が健康的な生活を送る上でとても重要です。

●年を取ると次第に筋肉が落ちていきます。これは食物を摂取するとその食べたものがインスリン分泌を刺激してタンパク質合成を促しますが、加齢によりそのタンパク質合成のシグナルが弱くなるためです。

●高齢者は筋肉・筋力の維持向上には食事からのタンパク質摂取が重要です。

●「ロイシン」というアミノ酸は筋肉合成に大切だとということが分かってきました。効率よく筋肉を合成するために「ロイシン」の含有率の高い食品を摂ることは筋肉合成に有効です。

●人が生きてゆくために必要な必須アミノ酸が9種類あります。その必須アミノ酸の1つが「ロイシン」です。これを多く含有する食品は牛乳、ヨーグルトやチーズといった乳製品です。また、植物性タンパク食品より動物性タンパク食品の方が「ロイシン」を多く含有しています。

●食事からタンパク質を摂取する時、1日に必要な量を1回の食事で多く摂るより、均等に3回の食事で摂る方がタンパク質の摂取効率が良いと言われています。

●運動は筋肉合成のシグナルを強くするため、筋肉合成に運動は有効な手段です。運動による筋肉合成の効果は運動後48時間持続します。

●筋肉合成のシグナルを強くする運動は、運動強度よりも運動量が重要です。つまり、弱い負荷の運動でも回数を増やすことで強い負荷の運動と同じ効果が期待できます。