不眠症に潜む依存の問題

今回は不眠症に関する講演会でした。「不眠症の人が睡眠剤を飲む前に注意する点」を書きます。

●「不眠そのもの」に対する治療は大切ですが、「不眠に対する不安や苦悩」に対する治療も大切です。

●「途中覚醒」、「早期覚醒」タイプの不眠は「うつ病」である可能性があります。

●2ヶ所以上の医療機関から睡眠剤を貰っている(睡眠剤の探索行動のある)人は「睡眠剤依存症」の可能性があります。

●不眠であっても全く眠れていないわけではありません。睡眠時間は「足し算」が可能で、途中で目が覚めても眠れている時間の合計が睡眠時間です。昼寝も睡眠時間にカウントが出来ます。

●「眠れる人」は途中覚醒があっても覚えていないだけです。「不眠の人」は敏感に覚醒したことを覚えています。

●夜眠れなくなるからといって昼寝を我慢するのは、「眠らない練習」になってしまいます。15分~60分ぐらいの昼寝は心配いりません。

●もし長時間昼寝をしても、睡眠時間は「足し算」なので夜眠れなくても心配いりません。睡眠のリズムはあとから整えれば問題ありません。

●「眠れる人」は眠れるかどうかを悩まずに生活しています。「眠れない人」は日中から眠れるかどうかを悩み、眠る直前に興奮して入眠困難になっています。

●「飲酒」、「たばこ」、「コーヒー」は不眠を作るので、ほどほどにすることが大切です。夜間目覚めても「タバコ」を吸わないようにしましょう。

●「軽い運動」は眠るために大切です。特に、日内(にちない)リズムを整える「朝の散歩」は効果があります。但し「夜遅い時間の運動」は興奮して眠れなくなるので注意が必要です。

●体温が下がる時に眠くなるので、「入浴後」はよく眠れます。

●食後「インスリン」が出て血糖値が下がる時に眠くなります。そのため昼食後は昼寝をしたくなります。

●睡眠剤を服用後に寝床に入るのがベストです。

●現在使われている睡眠剤の中には「睡眠剤依存症」を引き起こす薬剤が多数あります。

●「睡眠剤依存症」にならず、不眠が改善したら容易に止めることが出来る睡眠剤もあります。

●以上のことに注意しても不眠で悩んでいる人は、専門の先生(日本睡眠学会認定医、精神科、神経科、心療内科等)に相談をしてみて下さい。