内科セミナー「地域で取り組む肺炎対策」

①社会の高齢化で、肺炎で亡くなる患者様の97%は65歳以上の高齢者です。また、肺炎は日本人の死因の第3位になっており、肺炎の原因菌で最も多いのは肺炎球菌です。

 

②肺炎は薬で治せますが、高齢者の肺炎は再発を繰り返し、日常生活での心身機能が低下し、寝たきりや認知症になるリスクが増え死亡率を有意に高くすると言われています。そのため、発症後の肺炎を治すのではなく、かからないように予防をすることが大切です。

 

③肺炎球菌性肺炎になりやすいのは65歳以上の高齢者です。また、下記の基礎疾患が2つ以上ある患者様は肺炎球菌性肺炎にかかりやすくなります。

基礎疾患:●気管支喘息、●慢性肺疾患、●慢性心疾患、●脳梗塞、●糖尿病

☆肺炎は慢性肺疾患増悪の最大の原因で、その原因菌として肺炎球菌が最も多いと言われています。慢性肺疾患の増悪予防のために肺炎球菌ワクチンをうつことは理にかなっています。

 

④高齢者の肺炎球菌による肺炎を予防するため、現在2種類の肺炎球菌ワクチンがあります。

●定期接種に使われているPPSV23(23価肺炎球菌多糖体ワクチン)、●2014年に高齢者に接種が承認され、任意接種のみに使われるPCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン)

☆PPSV23は、23種類の肺炎球菌の血清型の抗原が含まれ、肺炎を起こしやすい肺炎球菌の約80%をカバーしています。しかし、5年以上の間隔を空けたうえで追加接種が必要になります。

☆PCV13は、13種類の血清型抗原を含みカバー率は60-70%しかありません。しかし、免疫記憶の確率が期待され長期的に優れた免疫応答が期待できます。また、このワクチンは、世界中で免疫応答が未発達な小児に広く接種され、その高い予防効果から、日本でも2014年に65歳以上の成人への適応が広がったワクチンです。

 

⑤アメリカでは、2014年に総ての65歳以上の成人にPPSV23とPCV13の2種類の肺炎球菌ワクチン接種が推奨されました。日本にも、「日本呼吸器学会」と「日本感染症学会」が提示した「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方」があります。詳しいことは「かかりつけの内科の先生」に聞いて自分に一番効果のあるワクチン接種を行って下さい。