酸関連疾患研究会in小樽

今回の勉強会では、ヘリコバクターピロリ菌と逆流性食道炎に関しての講演がありました。

●胃がんの原因は、ほとんどがヘリコバクターピロリ菌の感染だと言われています。現在、3剤の内服を1週間続けることのみでヘリコバクターピロリ菌を除菌することが出来ます。本日の発表でも、この治療で80%~90%以上の患者様で除菌に成功しています。ヘリコバクターピロリ菌に感染しているかどうかは、採血検査など簡単な検査で判断が出来ます。興味のある方はかかりつけの内科の先生に相談してみて下さい。 

●現在、日本国内のヘリコバクターピロリ菌の感染率は低下しています。

●ヘリコバクターピロリ菌に感染している患者様では、加齢とともに胃酸分泌能力が低下します。しかし、ヘリコバクターピロリ菌に感染していない患者様は高齢者でも胃酸分泌能力が維持され、そのため逆流性食道炎の発症や重症化が増えます。日本ではヘリコバクターピロリ菌感染者が減っており、将来的に逆流性食道炎の増加や重症化をきたすと予想されています。

●逆流性食道炎は下部食道括約筋の弛緩による胃酸の逆流で起こります。食道裂肛ヘルニアなどの疾患により引き起こされますが、私達の生活の中にも原因があります。その原因として、1:高脂肪食、2:過食、3:早食い、4:肥満、5:就寝前(直前~3時間前)の食事などがあります。3年前に今まで使用されていた薬より胃酸を抑える薬が発売され、軽症はもとより重症な逆流性食道炎の治療結果も良くなっています。胸やけなどの症状が気になる患者様はかかりつけの内科の先生に相談してみて下さい。