○糖尿病網膜症は、糖尿病の3大合併症の1つです。
○糖尿病により網膜の細い血管がダメージを受けて、目への血液が行きづらくなるために起こります。
○日本の視覚障害の原因疾患の第3位が糖尿病網膜症です。
○1型糖尿病(遺伝的、インスリン分泌欠如)では、糖尿病になってから5年以内に5人に1人の方が糖尿病網膜症を発症、15年以上で5人に4人の方が糖尿病網膜症を発生します。
○2型糖尿病(インスリン量の減少やその働きの悪化)では、糖尿病になって5年以内に7人に1人の方が糖尿病網膜症を発症、15年以上で約半数の方に糖尿病網膜症を発生します。
Q:症状はどういったものですか。
A:初期には自分で気づく症状はありません。進行すると眼底出血が出てきて、更に悪くなると網膜剥離や続発性緑内障になります。内科で糖尿病の診断を受けたら眼科で検査をすることが大切です。
Q:糖尿病網膜症の予防法、注意することはありますか。
A:●内科で糖尿病の検査を受けて、糖尿病と診断されたら内科で治療を受けることが大切です。
●糖尿病と診断されたら眼科での検査も受けて糖尿病網膜症の早期診断・早期治療が大切です。
●眼科で「糖尿病網膜症はまだ発症していません」と言われても、糖尿病にかかっている期間が長くなると糖尿病網膜症になる確率が高くなるので、内科で糖尿病治療中は眼科への定期受診が大切です。
Q:糖尿病網膜症の検査にはどういったものがありますか。
A:糖尿病網膜症の診断には眼底検査が欠かせません。また、悪化したかどうかの判断には蛍光眼底造影検査が必要です。但し、この検査は、造影剤に対するアレルギー反応で3万人~4万人に1人死亡するおそれがあります。但し、ショックに対する対応が可能な施設では心配ありません。当院はその対応ができる施設です。
Q:糖尿病網膜症の治療法はどういったものがありますか。
A:●基本は内科的な治療です。
●蛍光眼底造影検査で悪化してきた時は網膜光凝固術(レーザー治療)が必要になります。それをしないと目の中で出血(硝子体出血)を起こし、場合によっては網膜剥離が発生したり、続発性緑内障になる危険があります。
●更に悪化した時は手術(硝子体手術)が必要になります。
Q:糖尿病黄斑症とはどうゆうものですか。治療法はありますか。
A:●糖尿病網膜症の合併症として、黄斑部という部位がむくむ状態(黄斑浮腫)です。
●むくむ原因は血液が漏れ出すためで、著しい視力低下を引き起こします。
●糖尿病黄斑症は糖尿病網膜症が重症な患者様だけではなく、糖尿病網膜症の軽症~重症のどのステージでも出現します。
●治療はむくみをひかす作用のある薬を目の中に注射したり、網膜光凝固術(レーザー治療)を行います。ひどい時は手術(硝子体手術)が必要な場合があります。