眼科勉強会「OCTの基本と実践」

●OCTとは光干渉断層計(optical coherence tomography)という眼科での検査機器のことです。この機器が出てきた頃は網膜疾患に関する検査機器でしたが、今では緑内障診断にはなくてはならない機器となっています。現在、臨床の場では緑内障の早期診断、病期の進行具合を判断する為にOCTは必需品となっています。緑内障は早期発見・早期治療が必要な病気です。40歳を越えたら眼科での検査が必要です。

●今回の勉強会では網膜疾患でAZOOR(急性帯状潜在性網膜外層症)という疾患が取り上げられていました。この病気は若年・中年の女性に多く、患者様の訴えとして「膜が張ったように見ずらい、ちくちくする光視症」が多いのですが、眼底検査ではその訴えの原因となる異常が見られないことが多く、視神経炎や心因性視力障害と診断されることもあります。この病気に対してOCTで異常が見られることがありますが、正確な診断には特別な機器での検査が必要です。ただ、診断が付いても有効な治療がないのが現状です。

●糖尿病黄斑症に関しても取り上げられていました。この糖尿病黄斑症は黄斑部に浮腫が起こることで、OCTで簡単に診断ができます。糖尿病網膜症の初期には視力低下などの症状を自覚することはほとんどありませんが、糖尿病黄斑症が発症すると視力低下や歪視の自覚症状が出てきます。しかし、糖尿病黄斑症は重症な患者様だけではなく、糖尿病網膜症の軽症~重症のどのステージでも出現します。糖尿病の診断を受けたら視力低下や歪視の症状を自覚しなくても眼科での検査を受けることが大切です。